六十里越街道は、江戸時代、湯殿山への参詣として栄えた修験道で、街道沿いにある落差90mの七ツ滝は、日本の滝百選として選ばれた名勝です。七ツ滝下流500mのところにある多層民家の里・田麦俣集落は、六十里越街道の重要な荷場として多くの旅人が訪れた村です。緑の中に茅葺屋根の多層民家が点在する様は、昔話の世界に迷い込んだ錯覚を感じさせ、現在も民宿として一軒が営まれています。
多層民家と田麦俣集落の暮らし
【茅葺の民家「旧遠藤家住宅」】
この建物は鶴岡市田麦俣に見られる兜造り多層民家の代表的なもので、昭和49年4月、山形県有形文化財の指定を受けた市有建造物です。
昭和52年8月から同53年10月まで半解体復元工事を行い、兜造りに改築された明治10年代の姿に復元されました。
田麦俣集落は、庄内と内陸を結ぶ六十里越街道の要所で、湯殿山信仰が盛んになるにつれて、宿場的性格を帯びてきました。このような環境の中に、この地方独特の建築様式を誇る茅葺の民家がたくさん建てられるようになりました。
『旧遠藤家』もその中の一つとして、江戸時代後期の文化文政年間に建てられたものと推定されています。当初は寄せ棟造りでしたが、明治に入って養蚕が盛んになると、屋根の改造が行なわれ、妻側は「高はっぽう」という輪郭と反りが美しい「兜造り」に改造され、平側にも採光と煙出しの窓が造られて、風格のある建物に変わっていきました。
内部は、1階が主に家族の居住用として使われ、2階は下男たちの居住用と作業場・物置であり、その上に養蚕と作業のための三階「厨子」があり、さらにその上に物置用の「天井厨子」があります。
この地方は、土地が狭いうえに積雪が多く、建物の増築が困難であったため、毎日のくらしと作業・養蚕のための部屋が一つの建物の中にまとめられて、多層の形になったものと推定されています。
山ぶどう加工品、山菜、きのこ
六十里越街道
田麦俣多層民家 0.5km
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